生きとし生けるものが鬼と共生する世界を描く

私は山深い奥三河で生まれました。幼児期、少年期は虫や魚や花と遊び、生家の山林業の仕 事を手伝って育ちました。人々は山に対する感謝の気持ちを「山の講・ヤマノコウ」で表 し、山の仕事に親しみながら山と自然に対する思いを深めました。

奥三河の花まつりには山の神を象徴する鬼が登場します。日本には鬼の民話と伝説がたくさ んあり、私は鬼の研究を続けました。鬼は今、荒れてしまった山の姿を嘆いて、生き物たち すべての幸と山の復権を願っています。その思いを「鬼MANDARA」に託して表現していま す。「鬼MANDARA」の中で生息する生き物は仲良く共生し、その中心には「大日如来」を 表す「太陽」を描いています。

私の「鬼」は小石の表面に見られる風化した線の模様を、絵に展開してゆく手法をとりま す。画布には日本の着物の帯を使用しています。


制作年:2021
サイズ:30×80cm
画 材:アクリル絵具
画 布:帯